大住良之の「この世界のコーナーエリアから」連載第68回「スタジアムはたそがれどき」(3)平塚スタジアムが教えてくれた「人生」の画像
ベルリンのオリンピック・スタジアムでは、唯一屋根が切れている西側のゴール裏スタンドから夕焼けがのぞく。(c)Y.Osumi
【画像】平塚のスタジアムにかかった美しい2本の虹ほか
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サポーターは1年を通じてスタジアムで多くの時間を過ごすもの。そんないつもの週末、お気に入りの席でキックオフを待つ試合前、空を見上げて思わず無口になる瞬間がある——。今回は、良いスタジアムの条件の決定版。スタジアムがその魅力をもっとも発揮する、たそがれどきのあれこれだ。美しい写真とともに、たっぷりお楽しみいただきたい。

■屋根の切れ目がポイント

 2006年ワールドカップの期間中に素晴らしい夕焼けを見たのは、ベルリンでのことだった。この大会の決勝戦も行われた「オリンピアシュタディオン」は、競技場の原型ができたのが第二次世界大戦前、1936年のベルリンオリンピックのときだったためか、現在のスタジアムの「原則」が採り入れられておらず、メインスタンドは南側にある。

 1936年のオリンピックでは、メインスタンドから見て左のゴール裏、すなわち西側のスタンド中央に聖火台が置かれていた。現在はほとんどの観客席が屋根に覆われているものの、ここだけはその屋根が切れ、観客席は設置されず、コンクリート打ちっぱなしの段々になっている。いまは聖火台はないが、この部分の屋根を数十メートル切ることが、スタジアムデザインの大きなポイントになっている。

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