森保一監督が掲げた条件

 ホンジュラス戦では、チーム最年長の吉田麻也にアシストをしてみせた。仮装メキシコを相手に、貴重な先制ゴール。しかも、フワリとした浮き球パスでセンスと余裕を感じさせるものだった。ポジションも右、真ん中で動きながら、左にも顔を出した。堂安律が決めたチーム2点目の場面では、久保が左でゲームを作っていた。

 10歳で海を渡った久保が迎える五輪は、東京で行われる。所属するマドリードのチームから海を渡ってきた。残念ながら母国サポーターの応援を背にプレーすることはかなわないが、日本の芝を走る。特別な感情がないわけがない。

 その久保がスペインと戦うに当たって求められるのは、やはり“個”の力と組織のオーガナイズの部分だ。森保一監督は、メンバー選出に当たって個の力をその条件とした。長らくスペインでプレーしている久保にとって、今回の対戦相手は最もやりやすい相手ともいえる。チームメイトをけん引するほどに、余裕を持ってボールを握れるか。他の選手以上に厳しい目で見られ、他の選手以上に期待を持って見られる。

 そして、“即時奪回”を実行するスペイン代表に対し、日本のオーガナイザーとなれるかどうか。パスサッカーこそ久保がやりたいサッカー。堂安律とのコンビネーションは彼にとって追い風となるだろうし、左に入る相馬勇樹は幅を作って久保にスペースを与えてくれるだろう。だからこそ、久保はそれに応えなければならない。

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