戦術家リカルド・ロドリゲスは、ピッチの上でどんなサッカーを表現しようとしているのだろうか。浦和レッズの戦いを、J1リーグ第18節湘南ベルマーレ戦、第19節柏レイソル戦、第20節アビスパ福岡戦、第21節ベガルタ仙台戦と追った。現時点で、目指すものはどこまで実現できているのか。そこに何を加え、どこに向かおうとしているのだろう。浦和レッズの近未来を占う――。
■ターンオーバーした柏レイソル戦で2-0の勝利
「不思議の負け」を喫した湘南戦から中2日の第19節。浦和はアウェーで柏レイソルと対戦した。
この試合、ロドリゲス監督はターンオーバーを決意。GKで西川周作を起用したのをはじめ、先発9人を入れ替えてきた。湘南戦の先発組の中で柏戦でも先発したのはDFの岩波とMFの伊藤の2人のみだった。
その結果、柏戦では昨シーズンから今シーズンの前半にかけてレギュラーとして戦っていたメンバーが主体となった。すなわち、DFラインは宇賀神友弥、トーマス・デン、岩波、山中亮輔。セントラルMFは柴戸海と伊藤。両サイドハーフが関根貴大と汰木康也。ツートップが興梠慎三と武藤雄樹という顔ぶれだ(つまり、ロドリゲス監督は各ポジションにレギュラーとして起用できる駒を2人ずつ持っているということになる)。
ユンカーと小泉の場合と違ってトップへは1本のパスでボールが送られる回数は減ったが、現在の浦和はワンタッチパスをつなぐ意識は昨シーズンまでとくらべて格段に強くなっている。パス交換から前線で興梠などが相手の最終ラインと駆け引きしながら飛び出していく場面が何度も生まれた。
また、サイドバックは明本や西の場合ほど変化の動きはないが、山中などは縦に抜ける推進力を生かすことができる。柏戦の先制ゴールもその山中からのクロスが右に抜けたところを関根がつないで宇賀神が決めたもの。つまり、左サイドバックが起点となって、右サイドバックが決めたものだった。サイドバックの生かし方も、サイドバックの人選によって変化がつけられるということになる。