■医療スタッフが真っ先に報告したのは…
横浜F・マリノスのことを知らない人がその光景を見れば、松永監督が指揮官だとは気が付かないはずだ。まるで一人ぼっちのような距離感だった。他チームでも飲水タイムにコーチに指示を任せることはあるが、これほど顕著に監督が離れていることはない。異例の関係と言えるだろう。
そしてもう一つの場面が、選手の負傷時だ。選手の治療に当たった医療スタッフがベンチに戻ってきて報告をするのがハッチンソンヘッドコーチだったのだ。
とはいえ、マリノスの勝利を告げるホイッスルが鳴ると、2人は強く抱き合って喜んでいた。偉大な前監督の退任を乗り切ろうとするイメージと想いが共有できているからこその場面だった。
そして、チームの過渡期に奮闘しているのはこの2人だけではない。ピッチでキャプテンマークを巻いた選手が見せたある場面での気迫も、勝利を呼び込んだ大きな要因となっていた。