■正しいアディショナルタイムの取り方

 現在のルール(2021/22年版)には次のように書かれている。

「主審は、以下のように前半、後半に空費されたすべてのプレーイングタイム(プレーのための)時間を追加する。

・競技者の交代

・負傷した競技者の負傷の程度の判断や競技のフィールドからの退出

・時間の浪費

・懲戒の罰則

・「飲水」タイム(1分間を超えるべきではない)や「クーリング」ブレーク(90秒間から3分間で)など、競技会規定で認められる医療上の理由による停止

・VARチェックやレビューに関わる遅延

・プレーの再開を著しく遅らせる行為(例えば、得点の喜び)を含む、その他の理由

 第4の審判員は、前半、後半の最後に、主審によって決定された最小限のアディショナルタイムを表示する。主審は、アディショナルタイムを増やすことはできるが、減らすことはできない。

 前半に時間計測を間違えたとしても、主審は、後半の時間の長さを変えることによって埋め合わせをしてはならない。」(原文のまま)

 近年の飲水タイムやVARなどの導入で新しい項目が追加されているが、アディショナルタイムについての考え方は数十年間変わっていない。

 かつては(Jリーグ以外ではいまでも)、主審と第4審判は試合前に合図を決めておくのが普通だった。右手で左腕を触ったら1分、右足を触ったら2分という具合である。空中に数字で「2」とか「3」と書く主審もいた(第4審判側から見ると「裏字」になる)。そして第4審判は交代ボードに分数を表示し、主審にそっと見せ、主審がうなずくという形である。無線によるコミュニケーションシステムが使われている現在のJリーグでは、それを使って口頭で伝えられる。

第2回につづく
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