【J1分析】横浜FC対清水「ドロー」の収穫(2)「相手をかわして前を向く」瀬古樹のプレーの価値の画像
ボールを運ぶ瀬古樹 撮影:原壮史
横浜FC対清水戦の写真 20210627
※その1はこちら

【明治安田J1リーグ 第20節 横浜FCvs清水エスパルス 2021年6月27日 18:03キックオフ】

 後半になって清水が主導権を握ると、コンビを組む高橋秀人が守備で目立つようになったが、瀬古樹の存在感の大きさは変わらなかった。高橋がもう1人いるのかと思うほどの大きな声で周りを鼓舞する姿を見せただけでなく、苦しい時間になるほど、目の前の相手をかわして前を向く、というそのプレーが横浜の精神的な支えになっていた。

 そうやって目立った瀬古だが、個人として素晴らしい出来であったものの、両チームトップの走行距離で彼が適所で目立てば目立つほど、チームとしての物足りなさが際立つことにもなった。本人が素晴らしいことと、目立ちすぎていることは別だ。ボランチの瀬古がここまで目立ちすぎるのは、周りが物足りないということでもある。

 早川知伸監督は「清水相手に自分たちもできることを証明した試合」と語ったが、サポーターが望むのは勝利だ。

 もちろん監督もそれは気にしていて「本当に申し訳ないと思います」と言うだけでなく「現状をしっかり受け止め、続けてやっていくことを改めて宣言したい」と続けた。そのポイントとして「ゴールに向かっていくところのクオリティーを上げていかなければ」としているが、ここで基準になるべき存在が瀬古だろう。

 ポジショニングの上手さや視野の持ち方といった部分は別としても、縦への意識やボールを受けるための準備を怠らないという部分では、全体でその水準にいなければチームとしての強さを感じることは難しい。

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