■タダ同然で手放した点取り屋

 補強の観点で言えば、大きかったのはルイス・スアレスの放出だ。2014年夏に加入して以降、スアレスはメッシとピッチ内外で良好な関係を築き、バルセロナでゴールを量産していた。それが突然、監督からの電話一本で構想外となったのだ。

 バルセロナはスアレスの放出を望んだ。ここまではいい。確かに、チームには若返りが必要だったからだ。

 しかし、こともあろうか、ラ・リーガのタイトルを争うチームにスアレスを移籍させた。それも、移籍金固定額ゼロ+ボーナス600万ユーロ(約7億円)と”タダ同然”でゴールゲッターをアトレティコに譲ったのである。

 スアレスはアトレティコのエースに据えられ、リーグトップのメッシと3ゴール差の32点を挙げた。得点王の個人タイトルは譲ったものの、結果的にラ・リーガを制覇したのはアトレティコだ。2013-14シーズン以来、7年ぶりとなる優勝を果たした。その「お膳立て」をしたのがバルセロナだというのは、なんともお粗末な結果だった。

 会長交代後、初めての夏が訪れる。バルセロナはすでに4人の選手を獲得している。失敗が許されない移籍市場となるが、その動向には疑問符をつけざるを得ないものもある。
 

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