■世界の潮流を変えたベレーザ的サッカー

 そのテクニックを追求する姿勢は、日本国内の女子サッカー界に大きな影響を与えた。そして、そこで培われたテクニックを生かしたスタイルを前面に出して2011年にワールドカップ優勝を果たしたことによって、日本女子のサッカー・スタイル(つまり、ベレーザ的サッカー)は世界にも認知され、世界の女子サッカーに変化をもたらしたと言われている。

 だが、世界の強豪国の多くが日本的なテクニックとパスを使ったサッカーを取り入れ、テクニック面でのギャップが埋まってくると、フィジカル能力で上回るヨーロッパ勢に対して日本女子代表が太刀打ちするのが次第に難しくなってきている。

 2019年にフランスで開催された女子ワールドカップでは、日本はラウンド16で敗退してしまった。ラウンド16でのオランダ戦での敗戦は不運も絡んだもので、内容的には日本が上回っていたとも言えるが、このところ日本女子代表は世界に対して苦しい戦いを強いられるようになっているのは事実だ。

 今後、日本の女子サッカーはどのようなスタイルで、どのような方向性を持って進化していくべきなのか。ちょうどプロ化(WEリーグ発足)という節目を迎えた2021年、日本の女子サッカーは大きな転換点に差し掛かっていると言える。

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