■旗手に負けがちだったが三笘も活躍できた

 三笘と旗手は左サイドでコンビを組んだだけでなく、ボランチとして選出濃厚な田中碧も含めた川崎トリオとして最終試験の舞台に臨むことになった。慣れている関係性でのパス交換や2人で挟み込む守備など良さを見せていった2人は、個々でもアピールに成功した。

 ここまで、五輪代表としての三笘のプレーは川崎での躍動ぶりには及ばないものだった。なかなかリズムに乗りきれない大きな要因として、システムの違いがある。2ボランチの代表では、外に張っている状態から仕掛けるのではなく、早い段階から内側に入ってプレーすることが多い。当然、内側に入ると味方も敵も360度いる。180度で勝負できる外側よりも多く気を配らなければならず、難度が上がる。福岡での試合ではゴールを決めたものの、相手が戦意を失った後だったことで決定的なアピールにはなっていなかった。この試合の前半でも、惜しいシーンがあったもののなかなか良さを出せず、目立ったのは旗手のほうだった。

 たとえば遠藤航のゴールの場面は、大外を旗手がオーバーラップしたことによってディフェンダーが1歩寄せることができなかった。遠藤はそれをしっかり見ており、ゴール後彼を労っている。どんな時でも全力で走りきる旗手のプレーは、最終試験となったこの試合で最も目立っていた。複数ポジションをこなせる存在であることも少数精鋭となる際の魅力だ。

 存在感を増す旗手とは対照的にこのまま終わってしまうのではないかとさえ思えた三笘だったが、最後の最後でようやくアピールに成功した。

PHOTO GALLERY U24日本代表対ジャマイカ代表戦での写真 20210612
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