【独占インタビュー(2)】冨安、遠藤、鎌田…日本代表主力の「欧州の入り口」を作った日本人経営者の「見据える未来」の画像
UDオリヴェイレンセ社長の山形伸之氏   写真/本人提供
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■3部に落ちたクラブの目標

 5月23日にシーズンを終えたポルトガル2部リーグ、リーガ・ポルトガル2に所属していた『UDオリヴェイレンセ』。現在、同クラブは日本企業「株式会社ナッツアンドアバウト」が経営権を取得し、DMM.comによるベルギー1部リーグ、 冨安健洋遠藤航鎌田大地が巣立ったチーム・シント=トロイデンVVの買収と経営にかかわった山形伸之氏が社長を務めている。

 小野原和哉(前レノファ山口FC)、小枇ランディエメカ(前いわきFC)という2人の日本人選手も所属するオリヴェイレンセは、昨シーズンの最終戦で引き分け以上なら残留という状況で、痛い黒星を喫し、来季はポルトガル3部リーグで戦っていくことになった。

 クラブ改革に乗り出す山形氏は、そのひとつの施策として「クラブ経営最先端の試み」、クラブトークンの発行を行なった(株式会社フィナンシェが運営)。ブロックチェーン技術を利用し発行、管理されるデジタル上のアイテムであるクラブトークンは、サッカークラブの経営上で今、注目される試みで、経営上の新施策ひとつであるそれは、世界のトップクラブ、バルセロナユベントス、そしてJリーグ湘南ベルマーレも行なっている。

 そんな新たな取り組みを行う山形氏に、UDオリヴェイレンセの今後を聞いた。

――今季、UDオリヴェイレンセは2部から3部に落ちてしまいました。来季の目標、そしてクラブの未来を教えてください。

「当然、落ちてしまったことはとても残念です。ただ環境を持ち続けることが重要だと考えています。カテゴリーによってクラブに来れる選手は変わりますが、日本人の経営のクラブがヨーロッパにあり続けるということが、日本人選手が来れるチームがあるというのは非常に重要だと思っています。

 また、これは当クラブだけでなく、日本でもヨーロッパでも世界中のクラブで共通することですが、やはりクラブ運営においてはファイナンスが重要です。その課題を来季だけでなく今後、解決していきたい。

 ファイナンスがしっかりしていれば、すぐに解決する課題もあります。世界中見てみても、ファイナンスによって、カテゴリー、順位もある程度決まってきますよね。もちろん、一番予算があるチームが優勝できるわけではないですが、どうしてもファイナンスと強さは比例するものです。

 我々の課題はファイナンス力。ファイナンス面の強化も含めた組織作り、それが早急に取り組むべき課題ですね。今回のクラブトークンもそこにつながります。クラブの歴史はずっと続いていくもの。まずはしっかりとした組織作りをしていきたいですね」

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