■長期的な視点でのクラブ経営

スタッフと話す山形氏 (写真/本人提供)

――3部に落ちたことでファイナンス面の強化を強く意識したんでしょうか?

「いえ、そこの課題は落ちる前から強く感じていたことで、改善すべく進めていたことです。ただ決してお金を使っていないわけではありません。クラブの方針として、まず施設、環境面への整備ということがありました。

 今季注力した投資項目としては、スタジアム改修、メディカル・フィジカルの機器の整備、衣・食・住、選手の生活環境の改善。このあたりが、新たにプロ選手を迎え入れる上で改善が必要と考え、そちらの投資を優先して進めました。せっかくいい選手が来てくれても、クラブの環境面で悪い印象を持たれてしまうと、それが噂となり、長い目で見ると良い選手が集まらなくなるからです。3部に落ちてしましたが、来たいと言ってくれる選手も多くおり、環境面等、オーガナイズの部分については評価されていると感じています。

 ただ、環境面の整備を優先したため、今季2部で我々のチームは、選手に使える予算がリーグで最も低いものになってしまいました。環境面のさらなる改善もそうですが、そこを解決していかないとチームは強くならない。私には現地でやる仕事もたくさんありますが、そのファイナンス面の強化の件など日本側でやるべき仕事が多くあります。

 今回、3部に落ちてしまったことは本当に残念でしたが、あせっても仕方がないと思っています。中・長期的なクラブ運営のシナリオは何も変わっていません。むしろ来季3部でしっかりとクラブを再構築したいと考えています。

 もちろん、サッカーは1節ごと、勝った負けた、上がった落ちたがつきもののスポーツです。下のカテゴリーに落ちたら、地元の方々が悲しむというのも当然あります。ただ、経営側が一喜一憂していては、長い目で見れば良い結果は出ないと思うんです。もちろん、落ちたことは悲しいですが、逆に良い機会と捉えて地に足をつけた活動をやっていきたいと思っています。

 今季2部で2位、3位に入って1部昇格を決めたヴィゼラとアロウカという2チームは、一昨年の3部からの昇格チームだったんです。両チームは一気に1部まで駆け上がったわけです。2チームに共通していたのは資金力、そして組織のまとまりです。我々のチームも、2部でしっかり戦える組織、チーム力を作って上がりたいですね。それがなければ、どうせまだ落ちてしまいますので」

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