■ヘディング禁止ルールの試案

 ヘディングをなくして試合をスムーズに進めるには、フェアキャッチとまで言わなくても、ルールを160年前に戻し、少なくとも手の使用を認めるしかないのではないかと、私は思っている。ただ、「前に」すなわち「相手ゴール」に向かって落としたら反則、すなわち1860年代のシェフィールドの考え方にする。前に落としたら「ノックオン」である。この規則を入れないと、試合は「パンチング合戦」になってしまうだろう。

 そしてまた、サッカーだから、後ろへでも手でパスをするのは反則とする。手でキャッチしたり後ろ向きに落としたボールは、自分でプレーしなければならない。自分が手で落としたボールを他の味方プレーヤーがけってしまったら反則である。

 また、この「ルール改正」はヘディングさせないことが目的なので、自分の肩より低いボールを手で扱うことも禁止である。体や足でいかなければならない。ちなみに「ヘディングの反則」は、すべて「自分自身を危険にさらした」ということで間接FKである。守備側の選手がペナルティーエリア内でヘディングしてしまったり、前に落としたり、あるいはまた落としたボールを味方選手がけってしまった場合には、PKにはならず、間接FKになる。

 では、ボールが偶発的に頭に当たってしまった場合にはどうなるのか。たとえば、相手が手で落としたボールがそのボールを競った選手の頭に当たってしまった場合。たとえば近くでけられたボールをよけきれず、頭に当たった場合。あるいは自分でけったボールがミスキックで頭に当たってしまった場合……。

 これは簡単である。現在の「ハンド」の反則と同じ考えにすればいい。偶発的に当たったものは反則ではない。ただ、FKの「壁」の選手の頭に当たった場合には、反則になるかもしれない。FKからシュートがくるのは予期できることであり、プレーヤーは自分の自身を守るために、右手を心臓に、そして左手を頭に当てて保護する形をとるのが、私の「試案ルール」では基本である。

※第3回はこちらから

PHOTO GALLERY 全ての写真を見る
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4