川崎VS鹿島戦に「王者の翳り」!(2)指揮官・鬼木達監督「遅さ」の理由の画像
鬼木達監督と小林悠(川崎フロンターレ) 撮影:中地拓也
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首位川崎フロンターレ鹿島アントラーズに競り勝ち、開幕から20試合無敗のJ1新記録を打ち立てた。しかし、一時期のような大量得点を奪っての圧勝は見られなくなって久しい。気になるのは、代表選手たちの過密日程と疲労だ。三笘薫のドリブルの切れは鈍っていないか、田中碧のボール奪取の回数は減っていないか……。東京オリンピックが終わった後、フロンターレの野望「J1とACLの同時制覇」への視界は良好なままなのだろうか。

■疲労を隠しきれなかったフロンターレ

 前半は圧倒的な攻撃力を見せた川崎だったが、後半には失速。全体的に動きが重くなり、パスへの反応も遅くなっていた。もちろん、サッカーのプレーというのはあくまでも相対的なもので、鹿島のプレーが前半より改善されたのも事実だった。だが、川崎のテンポが落ちたことも間違いない。

 また、ドリブルで持ち込んだものの決めきれなかった53分の場面など、高い決定力を誇る三笘の動きにはキレが欠けており、これ以外にも強引にドリブルで突っかけてDFに止められる場面は何度かあった。絶好調時の三笘であればもっとゴール前まで迫れただろうし、得点も決めていただろう。鹿島のDFたちが三笘のドリブルを研究して対応していたからでもあるのだろうが、三笘自身のパフォーマンスも絶好調時とは違うように感じられた。

 後半に入ると登里や田中などに疲れが見え、試合終盤になるとセットプレーの時に膝に手をやる選手も見受けられた。

 今シーズンはACLに出場するために、スケジュールが前倒しになっている川崎フロンターレ。第17節終了の5月30日時点で川崎はすでに20試合を戦っている(2位の名古屋もACLのために20試合を消化。一方、3位の横浜F・マリノスは現在まで16試合しか消化していないので、現時点では横浜FMが実質2位と考えていい)。

 5月になってからは下位チームとの対戦でも引き分けあるいは接戦に持ち込まれることが多かった川崎。どの試合でも、やはり疲労の影響が見受けられていた。それまでに蓄積されてきていた疲労が、名古屋とのハイレベルな連戦を戦ったことによって一気に表面化したのではないだろうか。

「連続無敗記録」は更新し続けているものの川崎が必ずしも本調子でないことは、対戦相手も分析して理解していることだろう。また、試合が始まれば相手チームの選手たちは川崎の選手の消耗感を肌で感じ取ることだろう。これはあくまでも憶測ではあるが、鹿島は前半は押しこまれていたが、後半になれば川崎の動きが落ちることを十分に予想できていたのではないだろうか。だからこそ、気持ちを強く持って守り切れたのだ。

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