【J2バチバチ攻防戦(1)】新潟アルベルト監督が「J1昇格の強力ライバル」琉球を「称賛」のワケ【戸塚啓のJ2のミカタ】の画像
高木善朗(新潟)   写真:森田直樹/アフロスポーツ

■「バチバチ」と音がするような上位対決 

 バチバチという音がするような、熱のこもった攻防が繰り広げられた。

 5月30日に行なわれたJ2リーグ16節で、2位のアルビレックス新潟と3位のFC琉球が激突した。ともに勝点は「33」で、首位の京都サンガF.C.を勝点2差で追いかけている。

 新潟はここ3試合勝利がなく、FC町田ゼルビアと京都に連敗している。一方の琉球は、前節のモンテディオ山形戦でホーム初黒星を喫した。どちらにとっても勝点3の欲しい一戦であり、J1昇格争いのライバル同士の直接対決となった。

 飲水タイム後の28分に、試合が動く。アウェイの琉球が動かした。右サイドの田中恵太が、GKとDFラインの間にクロスを入れる。トップ下の池田廉が右足のワンタッチシュートで、ゴール左へ流し込んだ。

 新潟もすぐさま反撃する。わずか1分後の29分、左サイドバック堀米悠斗のクロスを、高木善朗がコントロールの効いた右足シュートで得点へ結びつけた。新潟不動のトップ下は、4月11日の7節以来のゴールを決めた。

 ここから、先は新潟が押し込む。相手のポジションを見ながらボールを動かし、失っても敵陣で素早く回収して攻撃を継続する。スタンドから降り注ぐ拍手も、新潟の選手たちの背中を押していく。

 後半も新潟が攻め、琉球がしのぐ展開が続く。序盤に本間至恩が左サイドから仕掛け、ふたりを剥がしてペナルティエリア内まで持ち込む。背番号10がビッグスワンを沸かせる。

 67分、ボランチの高宇洋の飛び出しが琉球の組織を混乱させ、ゴール前にこぼれたボールを谷口海斗が蹴り込む。途中出場の谷口は、今シーズン4点目だ。

 追いかける琉球は直後の飲水タイム明けから、1トップの阿部拓馬を下げて清水慎太郎を投入する。新潟がやや守備の意識を強めたこともあり、ここから琉球が相手ゴールへ迫っていく。樋口靖洋監督はさらにカードを切って攻勢を強めようよしたが、2点目を奪うことはできない。新潟が2対1で押し切ったのだった。

 試合後のアルベルト・プッチ・オルトネダ監督は「まずは琉球を讃えたい」と切り出した。「彼らがいいサッカーを目ざしてきてくれたから、試合が魅力的になった。ここに来たどのチームよりも、いいサッカーを目ざしていた」と、攻守に緊迫した攻防を振り返った。琉球の樋口監督も、「負けたけれどネガティブになる内容ではない」と語った。J2リーグのクオリティを示した好ゲームは、見ごたえ十分だった。

 ともに攻撃的なスタイルを志向する両チームが、次に対戦するのは11月28日の41節だ。新潟は、琉球は、どのような立場でその日を迎えるのか──。

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