【CL決勝】チェルシーが9季ぶり戴冠!(2)トゥヘルが示した「奇策は不要」の信念の画像
チェルシーが欧州の頂点に 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

※その1はこちらから

UEFAチャンピオンズリーグ 決勝 マンチェスター・シティvsチェルシー 2021年5月29日(日本時間28:00キックオフ)】

 パスが詰まるシティに対し、チェルシーはシンプルに縦へ早くボールを進める攻撃で、脅威を高めていった。ここでもエンゴロ・カンテが重要な役割を果たし、アンカーのイルカイ・ギュンドアンの脇を突いて駆け上がり、前3枚+カンテの4人で4バックと戦うことを可能にした。

 相手が中盤の底を1人でケアしなければならない試合でカンテが攻撃面でも躍動するのは、これまで何度もあったことで、準決勝のレアル・マドリードもモドリッチがアントニオ・リュディガーのところまでプレスをかけに行く戦い方で中盤の底がカゼミーロ1人になると、その脇をカンテに突かれて慌ただしくなった。

 39分には、チアゴ・シウバが負傷交代という緊急事態に陥ったチェルシー。トーマス・トゥヘル監督が就任し、パスを繋いでいくスタイルに変化していく中で、2月のアトレティコ・マドリード戦のように最終ラインにシウバがいないことでビルドアップの不安定さが目立つ試合があったことが遠い昔のことように、このCL決勝では安定感を失わなかった。

 アンドレアス・クリステンセンは攻守で代役を見事にこなし、チームとして築き上げてきたことが間違っていないという自信に満ち溢れていたチェルシーは42分、メイソン・マウントからカイ・ハべルツのゴールで先制に成功する。

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