お気づきだったろうか。ユンカー旋風が静かに吹き始めている。昨年のオルンガ台風ほどの派手さはない。しかし静かに、着実にブームは胎動を始めた。J1デビューから出場4試合のリーグ戦すべてでゴールを決めて、計5得点。他を圧倒する高さや強さ、スピード、ボールテクニックを披露するわけではない。武器は、「決定力」というストライカーとしての能力そのもの。わたしたちは、ユンカーを分析して、理解する必要がある。浦和レッズは彼のデビュー以来、3勝1分け無敗で順位を8位に上げてきた。
■出場時間60分に1点のハイペース得点
これまで出場したなかで唯一得点がなかったのが5月19日、ルヴァンカップの横浜FC戦(埼スタ)。この日は控えにはいり、後半22分から出場。終盤の5分間に立て続けに3本のシュートを放ったが、1本はGKにブロックされ、1本は左ポストを叩き、最後のシュートはGKにセーブされた。
少し「数字」を見ておこう。ユンカーは5月26日までに6試合に出場し、うち先発出場が5試合。先発したすべての試合で得点し、計6得点。出場時間は370分であり、ほぼ60分に1点というハイペースである。だがシュートは意外に少なく、6試合で14本。シュート成功率は実に約43%という高率だ。何より、シュート14本のうち「オンターゲット(ゴール枠内シュート)」は9本、約64%。ヘディングシュートで1本を上に外し、もう1本を右に外した。そして左足シュート1本をポストに当てた。残りの2本はGKやDFにブロックされている。
6得点は、左足が4点、右足が1点、ヘディングが1点。ヘディングシュートは少し下がりながらジャンプし、右からのゆるいクロスを右ポスト際に低く送り込んだもので、首の筋肉の強さを感じさせるものだった。
仙台戦のゴールだけでなく、シュートのテクニックの高さには驚かされる。神戸戦のボレーもそうだった。