■ボールを捨てて勝ちを取る

 対するチェルシーも、「変わり身」を見せる。彼らはシティのようにフォーメーションを変えたりしないものの、戦い方を変えられるのだ。ボールを持ってのプレーを好むが、それを捨てることもできるのだ。

 今季CLで決勝トーナメントに入ってから、ボール保持率で相手を上回ることができないゲームが1試合だけあった。レアル・マドリードとの準決勝セカンドレグである。

 アウェイゴールを許してファーストレグを引き分け、前へと出る意識を強めるR・マドリードを前に、ボール保持率は36%という低さになった。だが、勝利したのはチェルシーだ。

 R・マドリードはボールを持つものの、気持ちが空回りするように連動がなく、ぎこちなかった。むしろ連動で上回ったのが、屈強な3バックという担保を背にしたチェルシーの守備だった。

 さらにチェルシーは、ロングボールの精度も高い。アントニオ・リュディガーは3バックの左に入り、右サイドへと対角に高精度のロングボールを送ることが多い。トーマス・トゥヘル監督が就任してから起用が増えたのは、そのあたりも大きな理由だろう。

 そして、ボールを受ける前線には、ティモ・ベルナーの圧倒的な速さがある。高額な移籍金に見合うだけのゴールを奪っているとは言い難いが、速攻で急先鋒となる動きは、チームを大きく助けている。FA杯のシティ戦での先制点も、縦パスで抜け出したベルナーのクロスから生まれた。

 フォーメーションの変更を含めて多彩にプレーの展開を変えるシティと、戦い方に柔軟性を持つチェルシー。ゲームプランの読み合いは、勝敗の行方を左右する大きな要素となる。

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