リーガでの久保建英を語るべき「本当の尺度」(1)早期デビューは成功を保証しないの画像
日本代表としても期待が高まる久保建英 代表撮影/JMPA

 スペインのラ・リーガは2020-21シーズンを終えたが、久保建英の挑戦はまた新たな局面を迎える。

 保有権はレアル・マドリードにあるが、これまでは出場機会を求めて他クラブを期限付き移籍で渡り歩いてきた。来季に向けて最適な居場所を見極めなくてはならない。

 その才能に疑いの余地はなく、日本国内での期待も当然ながら高い。ここまでの歩みだけでも日本を沸かせるに十分だが、その「熱」に浮かされてはいけない。

 10代にしてスペインで戦う若者を、冷静に見つめる正しい「尺度」が必要だ。

■10代でのブレイクは稀

 久保にとって、激動のシーズンだっただろう。開幕前に加入したビジャレアルで思うように出場機会を得られず、1年のレンタル期間を短縮して、冬の移籍市場でヘタフェに移籍。ヘタフェでは、厳しい1部残留争いに身を投じることになった。

 久保が理想的な1年を送ったとは言い難い。リーグ戦ではビジャレアル(出場13試合)、ヘタフェ(出場18試合)とプレータイムを確保するのは困難だった。言い換えると、改めてリーガのレベルの高さを認識させられることになった。

 久保は2018年夏に、FC東京からフリートランスファーでレアル・マドリードに移籍した。18歳の選手が世界的なビッグクラブに移籍するという出来事に、日本中が沸いた。だが、R・マドリードは当初、カスティージャ(Bチーム)に登録するための選手として久保を獲得したという経緯がある。

 若くしてスペインに渡り、成功するのは簡単ではない。確かに、早くに才能を見初められてバルセロナのカンテラで育った久保には、言語や文化への適応という面でアドバンテージがある。それでも、10代でリーガでブレイクする選手は決して多くないという事実を、忘れてはいけない。

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