■大型化した日本代表
そのコパがとても小さな選手だったと、オレギ先生はおっしゃるのだ。きっと、オレギ先生は、私が小さいことを大きなハンディと感じているのではないかと心配されたのだろう。私を勇気づけるために、サンセバスチャンで暮らしていたころ、愛するレアル・ソシエダの対戦相手として見てきた偉大なレアルのなかでも輝いていたコパの例を持ちだしたのだ。
高校2年当時の私は身長160センチ、体重47キロ。小さくて、そして痩せっぽちの少年だった。あまり言いたくないが、サッカー部の同僚には私を「チビ」と呼ぶ者もいた。もちろん、多感な年代である。なんとか身長が高くならないだろうかと悩んではいたが、実は、それがサッカーに関係があるとはあまり思っていなかった。それよりも、プレーのなかでどうしたらしっかりボールを止め、正確にけることができるのか、どうしたらシュートを決められるのか、そればかり考えていた。
サッカー選手の個人的なデータとして、基本的なポジションだけでなく、生年月日(年齢)とともに、身長、体重が示されるのは、日本に限らず、ごく一般的なことである。日本代表でもJリーグでも、試合前のメンバー表には身長と体重が表記され、日本代表ではご丁寧に先発11人の平均身長や平均体重も書いてある。
この記事を書いている時点での最も最近の日本代表の試合は3月30日に千葉のフクアリで行われたモンゴル戦だが、そのメンバー表によると、日本の先発11人の平均は身長181.2センチ、体重75.9キロ。登録メンバー23人の平均は、身長179.7センチ、体重73.6キロ。日本選手も大きくなったものだと思うのだが、残念なことにモンゴルの身長・体重のデータはないので、比較はできない。
ちなみに、ワールドカップでは、身長だけが登録され、体重は明らかにされない。国際サッカー連盟(FIFA)が大会規定を決めて試合運営をするオリンピックでも同じだ。欧州では、次第にこうした形が増えている。サッカー選手の基礎データとして、「身長」はいまも活躍しているのである。少しへそ曲がりの見方だが、選手登録時に身長の報告を義務付けているのは、もしかしたら、選手が本人かどうか確認するためかもしれない。