■日本が入ったグループAが厳しい理由

 だが、それはきわめて難しそうだ。何しろ、日本はメキシコ、フランスと同居するきわめて厳しいグループに入ってしまったからだ。

「楽なグループなどない。どのグループも厳しい」という見方もあるだろうが、それは建前論でしかない。たしかに、オリンピックの場合は「強豪国」といってもどのようなメンバー構成で来るか分からないし、準備の状況もばらばらだ。実際、2012年のロンドン大会の初戦で日本は当時のワールドカップ・チャンピオンだったスペインに競り勝った実績もある。

 だが、それでもやはりいわゆる「サッカー大国」は強いチームを準備できる可能性が高い。

 前回大会の決勝戦を戦ったブラジルとドイツが入ったD組やスペイン、アルゼンチンの入ったC組も、A組と同様に厳しいグループだ。だが、僕が「日本が厳しいグループに入った」と言うのは、他のグループの比較という意味ではない。

 ここで、4月21日にFIFA本部で行われた組分け抽選を振り返ってみよう。

 注目すべきは、FIFAランキングで世界2位のフランスがポット4に入っていたことだ。

 ワールドカップと同じように、参加16チームは4つのポットに振り分けられた。しかし、その基準はFIFAランキングではなく最近5回のオリンピックでの成績だったため、過去5大会に一度も出場したことのないフランスはポット4に入ったのだ。そして、ポット4にはフランスとともにオーストラリア、サウジアラビア、ルーマニアが入っていた。そして、同じ大陸のチームは同グループには入らないので、日本が所属するA組にはフランスかルーマニアが入ることが抽選前から決まっていた。そして、A組にヨーロッパの代表のどちらかが入ることになるので、ポット2(メキシコ、ドイツ、ホンジュラス、スペイン)からはホンジュラスかメキシコのどちらかがA組に入ることになっていた。

 つまり、抽選の結果によっては「日本、ホンジュラス、南アフリカ、ルーマニア」という組分けになっていたかもしれないのだ。だが、実際にはホンジュラスではなくメキシコ、ルーマニアではなくフランスがA組に入った。だから、抽選は「厳しい結果」だったのだ。

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