■「自問自答の末に」残留を決断
本間は、オフにはJ1からのオファーを受けた。左サイドからのカットインに加えて中央でもボールを引き出し、守備では激しくボールホルダーにアプローチをする。ドリブラーの枠に収まらない可能性に、J1のクラブが関心を示すのは当然だった。
本間が下した決断は「残留」だった。「長い時間をかけて自問自答した」末に、21年シーズンもJ2でプレーする決意を固めたのだった。
決断は正しかっただろう。
スペイン人のアルベルト・プッチ・オルトネダ監督が率いるチームは、今シーズン開幕から13試合連続負けなしの好スタートを切った。現在、10勝3分けの勝点33で、首位を快走している。
アタッカー陣は1トップの鈴木孝司を頂点に、2列目右サイドにロメロ・フランク、トップ下に高木善朗、そして左サイドに本間が入る。鈴木は8節から、ロメロは9節から欠場しているが、1トップは谷口海斗が、2列目右サイドは星雄次や矢村健が結果につながる働きを見せている。
チームメイトが特徴を発揮できているのも、左サイドに本間がいるからだ。
10節の愛媛FC戦が分かりやすい。12分、左サイドで幅を取っていた本間に、サイドチェンジのパスが入る。愛媛はすかさずダブルチームで対応してきたが、内側へ持ち出した本間は逆サイドへ展開し、右サイド深くから折り返しが入る。相手守備陣の視線を揺さぶった攻撃が、谷口の先制ヘッドにつながった。
88分には本間が試合を決めた。退場者を出したチームが数的不利に立たされているなかで、左サイドでロングパスを受けると、ワンタッチ目でDFと入れ替わる。そのままペナルティエリア内へ侵入すると、2点目をゲットしたのだった。