日本代表が、世界大会出場を勝ち取った。ワールドカップへの出場ではない。ピッチの上の話でもない。だが、れっきとした日本代表、e日本代表が成し遂げた快挙だ。
まさに初陣だった。日本サッカー協会(JFA)が初めて選出した「e日本代表」が今年4月、当然JFAの歴史上で初となる公式戦を戦った。国際サッカー連盟(FIFA)が主催する、eスポーツ版のワールドカップとも言える国別対抗戦「FIFAe Nations Cup」の出場権を争うアジア・オセアニア地区予選に臨んだのだ。
初めて日本代表として戦いに挑んだ選手たちの戦いぶり、そして言動からは、eスポーツの現状が浮かび上がってきた。
■アジアで日本代表に立ちはだかった壁
競技人口も、大会賞金も億を越える。世界では右肩上がりの成長を続けるeスポーツだが、日本ではまだまだ認知度が低い。
eスポーツには多くのカテゴリーがあり、その一つにサッカーも入っている。Jリーグのクラブに所属するeスポーツ選手もおり、FIFAも主催している大会もあるなど、プレーヤーは世界を舞台に戦っている。
昨年には、ついに「日本代表」が選出された。FIFAによる国別対抗戦、「FIFAe Nations Cup」への出場権を獲得するためだ。残念ながらコロナ禍で大会中止を余儀なくされたが、初の試みとなるイベントは今年8月にデンマークで初開催される予定となっている。コロナ禍で代表選出の予選は行えなかったものの、ランキングなどの規定によりJay、Web Nasri、Aguの3選手が日本代表に選ばれた。
本大会には、世界中の予選を勝ち抜いた24カ国が出場する。アジア・オセアニアに割り当てられた枠は「5」。4月29日から3日間開催された予選には、10チームが参加した。オンラインで対戦し、2つのグループステージに続く上位チームによるトーナメントで、出場権を争う。
日本代表は好調な滑り出しを見せた。2人の選手がそれぞれ、プレイステーションとXboxで「FIFA21」をプレーするのだが、その2種目ともにオーストラリア代表に勝利。勝ち点6を積み上げて、初戦を終えた。さらにニュージーランドにも2勝したのだが、「FIFAeネーションズランキング」で世界2位につけるマレーシアに2敗を喫して大会初日を終えた。
大会2日目のスタートとなったフィリピン戦でも1分1敗と苦しんだが、グループ2位での準決勝進出が決定。あと1勝すれば本大会出場が決まるところまで進んだ。
だが、日本代表の前には大きな壁が立ちはだかった。準決勝の相手は、グループBを首位で突破した韓国代表に決まったのだ。