■2位は98年ワールドカップのフランス

 第2位は、1998年フランス・ワールドカップのメディアセンターです。

 FIFAがしみったれなのかどうかは知りませんが、ワールドカップの時は食事は有料です。ただ、さすがに美食の国フランス。メディアセンターには各地方の名物料理がそろっていたのです。

 この大会は日本が初めてワールドカップに出場した大会ですが、初戦はフランス南西部のトゥールーズで行われたアルゼンチン戦でした。例の「チケット問題」でチケットを持たない日本人サポーターが大勢詰めかける異様な雰囲気の中の試合でした。

 そのトゥールーズには「カスレー」という名物料理があります。インゲン豆とカモ肉やアヒル肉を煮込んだものでフランス南部一帯にある料理ですが、地域によって具材が違うそうで、トゥールーズのカスレーは大きなソーセージが入っています。

 その、トゥールーズ式カスレーをメディアセンターで食べることができたのです。

 ワールドカップの楽しさは一つの国のあちこちの都市を巡り歩くことです。ですから、各都市で美味しいものを食べ、地元の酒を飲むのも楽しみなのですが、毎日のように試合があるので試合が終わると駅に直行して次の都市に移動したりすることも多く、名物を味わっている暇があまりないのです。実際、アルゼンチン戦の翌日はリヨンでコロンビア対ルーマニア戦を観戦する予定で、しかもリヨンでの試合は14時30分キックオフですから、早めに移動しなければなりませんでした。

 ですから、メディアセンターでカスレーが食べられたことがとても嬉しかったのです。

 もちろんワインを頼みますが、これもさすがにワイン大国のフランスです。メディアセンターにもいろいろな種類のワインが置いてあって、ただ「赤」、「白」と言っただけでは売ってくれません。ちゃんと「カベルネソーヴィニヨン」とか、「ピノノワール」とか「シャルドネ」とかブドウ品種を指定しないといけないのです。

※第2回につづく

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