■フロンターレを追い込んだ名古屋の見事な攻撃力

 3点差となったことで、名古屋の守備が崩壊してさらに大量点が生まれる可能性もあったが、そこから立て直したあたりは名古屋も実にしっかりしたチームだった。川崎が何度も攻め込むものの、しっかりと対応してフィニッシュの段階まで持ち込ませなかった。この辺りは、前評判が高かった守備力の部分だ。

 そして、選手たちも3点差となったことで開き直りの気持ちが出たのだろう。また、名古屋ベンチのブルーノ・コンカ・コーチも柿谷曜一朗ガブリエル・シャビエルといった攻撃の選手を次々と投入。気力で上回った名古屋がセカンドボールを拾いはじめた。そして、攻撃ムードが高まるとともにマテウスが存在感を増していった。

 73分には右サイドでマテウスがタメを作って、その間に上がってきた森下龍矢がクロスを入れると稲垣祥が得意のミドルシュートを突き刺して1点を返すと、さらに83分にはマテウスが自ら獲得したFKを直接たたき込んで、1点差まで追い上げることに成功したのである。

 アディショナルタイムに入ると、川崎はコーナー付近でボールをキープして時計の針を進ませることとなったが、川崎をここまで追い込むことができるチームは、Jリーグにはそれほど多くないはずだ。

 それだけのチーム力がありながら、“ファーストレグ”で試合の入り方を失敗したことで2連敗を喫してしまったのだから、名古屋にとっては痛恨の首位決戦となったことだろう。そして、一方の川崎はその試合運びの巧みさを見せつけることとなった。

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