5月4日、中4日での連戦となった“首位決戦”セカンドレグ。名古屋グランパスはしっかりと修正を施して、アグレッシブな戦い方で川崎フロンターレに迫った。相手の出方を見た川崎は、激しい中盤のプレスをいなしながら、決定的なリードを作り出す。それでも名古屋は鬼神のような攻撃で川崎を追い込んだ。サッカーの醍醐味が詰まったようなこの一戦を、サッカージャーナリスト・後藤健生はどう見たのか。
名古屋の実力は証明されたが……
川崎フロンターレとのJ1首位決戦の“セカンドレグ”(5月4日の第12節)。開始早々から、4月29日の第22節の試合とは打って変わってアグレッシブなプレーを見せた名古屋グランパスだったが、前半のうちに先制ゴールを決められ、さらに後半に入ってすぐに追加点を奪われ、さらに丸山祐市のまさかのオウンゴールによって3点差となってしまったが、その後は名古屋が「意地を見せて」マテウスのスーパーFKなどで1点差まで詰め寄った。
最後に2点を追い上げたこの時間帯だけを見れば、名古屋は川崎のパス回しを分断することにも成功していたし、非常にアグレッシブに攻撃をしかけて何度もチャンスを作っていた。そして、FK以外にもマテウスは獅子奮迅の活躍を見せた。この時間帯のプレーを見ることによって名古屋がなぜJ1リーグで2位に付けているのかは十分に納得できた。名古屋は「最強の盾」であるとともに、川崎を追い詰めるだけの攻撃力も持っていることが証明された。
とはいえ、試合としては“ファーストレグ”に続いて川崎フロンターレの完勝であり、連戦を終えて首位の川崎と勝点差は9ポイントに開いてしまったのだ。名古屋はいったいどうして2試合連続で完敗を喫してしまったのか? 勝敗を分けたものとは何だったのか……。それは、やはり川崎の試合運びの巧みさだった。