■残っていても出番はなかった

 チャンピオンズリーグがそうであるように、ヨーロッパリーグもグループリーグでは力量差のある相手と戦う。久保が好パフォーマンスを見せたグループリーグの相手は、カラバフ、シバススポル、マッカビ・テルアビブ。いずれもビジャレアルが上の立場でいられる可能性が高い相手だ。しかも、グループリーグは4チーム中2チームが勝ち抜けられる。

 国内リーグではマドリードの2チームとバルセロナが4枠あるチャンピオンズリーグの出場権のうち3つをほぼ確実に奪っていく。残りのたった1枠をセビージャやソシエダと争う国内リーグの戦いの方がシビアだ。エメリ監督からすれば、そういう戦いの中で長々と試す意味はなかったということだ。
ビジャレアルはヨーロッパリーグを勝ち上がり、決勝に進出しようかとしているところだが、残っていたとしても、グループリーグのように出番が与えられることはなかっただろう。

 このことをはじめとして、久保のことを考える時に念頭に置かなければならないことが2つある。

 1つ目は、スペシャルな選手、というものがどういうものなのか、という認識の違いだ。スペースが少なく、ソリッドな戦いが主流の現在では1vs1で勝負できる場面は滅多に訪れない。スペシャルな選手、のハードルは上がっている。リオネル・メッシのように毎試合得点に直接絡んでくれるのならばスペシャルだが、時々格下に良いプレーを見せる程度では守備やチーム全体の安定感の方をとられる。
限られた時間の中でも数字を残せないならば、それはスペシャルな選手ではないということだ、というのがビジャレアル時代の扱われ方だった。

※その2

■試合結果

ビジャレアル 1―0 ヘタフェ

■得点

79分 ジェレミ・ピノ(ビジャレアル)

  1. 1
  2. 2
  3. 3