五輪サッカーに「死の組」などない(1)オリンピックならではの特殊な事情の画像
久保建英 撮影/渡辺航滋

東京オリンピックの組み合わせ抽選が4月21日、スイスのチューリッヒであり、24歳以下の選手(とオーバーエイジ)で構成される日本代表(男子)はA組に入った。男子は16チームを4組に分けてグループステージを行う。A組の日本は7月22日に南アフリカ、同25日にメキシコ、同28日にフランスと戦う。各組上位2チームが準々決勝に進み、準決勝まで勝ち抜けば、合計6試合を戦うことになる。日本のオリンピック出場は7大会連続11回目となる。

■グループステージはどこも「死の組」

 新型コロナウイルスの「第4波」が押し寄せるなか、東京オリンピックの組分けが決まった。今回は、オリンピックの男子トーナメントに限っての話である。女子トーナメントについては、また機会を見て書きたい。U−24日本代表はA組にはいり、南アフリカ、メキシコ、そしてフランスと同組になった。メディアは「死の組」と書き立てている。

 なにしろメキシコは2012年ロンドン大会の決勝戦でブラジルに2−1で競り勝って金メダルを獲得し、フランスは2018年ワールドカップのチャンピオン国。そして両国とも「育成」の成功によってこれらの栄冠をつかみ取った国で、その後も若いタレントが次々と育っている。このグループを勝ち抜いて準々決勝に進むのは、至難の業に違いない。世界のサッカーファンにアンケートを取ったら、その多くがこの組の1位、2位は「メキシコとフランス」と言うに違いない。

 だが32チームが参加するワールドカップと違い、16チームしか出場できないオリンピックは、いわゆる「死の組」が普通の姿だとも言える。C組はアルゼンチン(2008年北京オリンピック金メダル)とスペイン(2010年ワールドカップ優勝国)がはいり、エジプトとオーストラリアはどうしたらこのグループを抜けられるか途方に暮れているかもしれない。

 そしてD組には、2016年リオ・オリンピックの金メダリストであるブラジルと、2014年ワールドカップ優勝のドイツに加え、「アフリカの雄」コートジボワールがはいっている。サウジアラビアは頭をかかえているだろう。

 唯一、「ビッグネーム」に欠けるのがB組だ。ニュージーランド、ホンジュラス、ルーマニアと同組になった韓国では、「超ラッキー!」と喜び、「日本はとても気の毒な組にはいったが、準々決勝で当たる可能性も出てきた」と、「上から目線」で同情し、韓国のグループ突破が組分けの時点で決まったような浮かれぶりだという。

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