■「完膚なきまで攻め尽くせ」
この日、ホームゴール裏の中央には『完膚なきまで攻め尽くせ』と書かれた幕が掲示された。5-0とその期待に応えたマリノスだったが、前線で詰まらずにフィニッシュまで行けるのは、インサイドに入ってボールを捌くティーラトンや右サイドを突きぬけてくる小池龍太の存在があるからだ。
守備に切り替わった時も、彼らはフォワード陣と共にまず相手陣内でプレーする。扇原貴宏と喜田拓也もそうだ。自陣に引くのではなく、前線から中盤にかけて激しくボールを奪いに行く。そこで再びボールが自分たちのものになればハーフコートマッチのように試合を支配できる。そのチャレンジが可能なのは、かわされたり、相手がそれを嫌って中盤を省略してサイドバックの後ろにある広いスペースにロングボールを蹴ったりしても、マルチンスが快足を飛ばしてそれを回収してくれるからだ。
両サイドバックや中盤の選手が攻守共に前でのプレーに集中できるから、前線の選手が好調をキープできる。それはマルチンスと畠中槙之輔というJ屈指のセンターバックコンビが2人で自陣をロックしてくれるからであり、マリノスを見ていると、得点は直接関与した選手だけのものではない、というのが決してきれいごとなのではないということがよくわかる。
チームとして噛み合っているからこそ、5-0で勝利したマリノスの雰囲気は良い。
マルチンスは個の力で好調を戦術的な面で支え、試合外でもチームを盛り上げている。