■早すぎる得点は身を滅ぼす
ドルトムントはシティにボールを持たれて押し込まれる時間が長かったことで、前に出る守備ではなく張り付く守備が当たり前になってしまっていた。セットプレーの場面でも、前半はヒッツやマッツ・フンメルスがしきりに大声で指示を飛ばして細かい部分まで気をつけさせていたが、守備の時間が長くなると集中力が高まる一方で、誰もが目の前のことだけにフォーカスするようになっていった。
フォーデンがフリーでボールを受け、思い切りシュートを放つことができたのは、シティが前半のうちにやり方を修正して自分たちの時間を続けてきたことでドルトムント守備陣の集中力が極限まで達し発生したエアポケットだった。
そういう意味で、シティが修正することを選ぶことになったドルトムントの1点目が入った15分という時間は早すぎた、ということになってしまった。自分たちが不利になるはずのレッドカードが相手にも悪影響を与えることがあるのと同じように、自分たちが有利になるはずのゴールが相手に好影響を与えることもある。サッカーの奥深さであり、難しさであり、魅力でもある。
シティの次の相手はパリ・サンジェルマンだ。豊富な資金力で悲願のCL制覇を狙う2チームによる準決勝は、サッカーのどんな一面を見せてくれるだろうか。
■試合結果
ドルトムント 1―2 マンチェスター・シティ
(2戦合計2-4でシティが準決勝進出)
■得点
15分 ジュード・ベリンガム(ドルトムント)
55分 リヤド・マフレズ(マンチェスター・シティ)
75分 フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)