■ハーフタイムを挟んで化けた

 ボールを動かして左右に相手を揺さぶろうとする日本の狙いは機能していなかったのだ。

 ハーフタイムを挟み、U-24代表はまったく違う姿を見せた。

「後半の日本は、より直線的な縦に速いプレーの優先順位を高くしていました。特に左右のウィングの前のスペースにボールを早く送り込んで、相手の守備を左右に動かすのではなく、奥へと押し込むようなプランに変えました。その結果、チャンスも多くつくれたのです」

 Jリーグでのプレーを見て、ラレア氏が「スペインでも通用する」と高く評価している三笘薫も、前半の戦い方ではなかなか力を発揮できなかった。

 だが、後半に入ると自慢のドリブルでチャンスを創出し、三笘との交代で66分にピッチに入った相馬勇紀もチームの勢いを加速させた。

 ラレア氏は「相馬選手は相手の戦術に対して効果的なプレーをよく理解しつつゲームに入ったことで、多くのチャンスをつくれたと思います」と指摘する。

 結果的に得点を奪うことはできずに0-1で敗れたが、「日本は後半の内容に手応えがあったはずです」とラレア氏は話す。

U-24代表は、試合の中でも「効果的」な戦い方を見つけ出し、対応できることを証明したのだ。

 その成長の様子は、第2戦目へとつながっていく。

Alex Larrea

 スペイン、サンセバスチャン出身.元スペインサッカー協会会長の父、U-21スペイン代表で現在レアル・ソシエダ育成部長の兄など、エリートぞろいのサッカー一家で育つ。自身もカナダでプロとしてプレーした後、一度は会社員となるも、再び指導者としてサッカーの世界へ。ヨーロッパ最高位の指導資格であるUEFAプロライセンスを取得し、現在は日本でDV7サッカーアカデミーのディレクターコーチを務める。

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