■あまりにも積極的な采配

 トニ・クロースのフリーキックで2点目が生まれると、後半開始からバルセロナはアントワーヌ・グリーズマンを投入してアルバと縦に並べることでその部分の解決を図った。前半の最後にルーカス・バスケスが負傷し、アルバロ・オドリオソラが右サイドバックに入ってバルベルデがそのフォローにも回るようになったことも相まってようやくアルバが動けるようになった。ルカ・モドリッチもオドリオソラのフォロー役を担ったが、崩れかけたバランスは戻らなかった。

 60分に肝心のアルバのクロスからオスカル・ミンゲサが決めて試合のムードが変わると、ジネディーヌ・ジダン監督はすぐにバルベルデの役目を終わらせてマルコ・アセンシオを投入した。それまでの守備の最大の特徴を自ら放棄して攻撃的になることで、バルセロナペースを崩そうと試みたのだ。

 その効果は薄かったが、この日のジダン監督は積極的だった。ならば、と72分にヴィニシウス、クロース、ベンゼマという攻撃の中心となっていた3人を一気に交代させ3バックに変更。マルセロを左ウイングバックに配すことでアルバと逆の位置で試合を進めることを試みた。攻撃では機能する場面を見せたこの変更だったが、動き始めたアルバはもう止められず、追いかけるバルセロナの圧はますます強くなった。

 83分にはアルバのパスからマーティン・ブライスワイトが倒されてあわやPKというシーンが生まれ、終盤はシステムに関係ないぶつかり合いとなってカゼミーロが退場となり、アディショナルタイムのラストプレーではイライクス・モリバのシュートがクロスバーを直撃、と幾度となく同点になる気配が漂ったが、辛うじてレアルが逃げ切った。

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