■アンカーよりも下がったクロースの「狙撃」
また、重要だったのが引き金を引く狙撃手の配置だった。その役割を担ったのが、トニ・クロースだ。インサイドハーフだが、R・マドリードがボールを保持するとアンカーのカゼミーロよりも深く、CBの間にまで下がって試合をコントロールする。その背番号8が仕事を果たしたのが27分だ。自陣でボールを持ったクロースは、余裕を持った状態から突然、右足を振り抜く。前線でCFのカリム・ベンゼマも追い越して走り込んだビニシウスは、相手DFの間をすり抜けてパスを受けると、そのままゴールを陥れた。
36分にも、このコンビのリズムが効いた。やはりハーフウェイラインの手前から、クロースが左サイドへロングパス。抜け出していたビニシウスには届かなかったが、処理しようとしたアレクサンダー=アーノルドのヘディングが中途半端になった。ゴール前に走り込んだマルコ・アセンシオには絶好のアシストとなり、飛び込んできたGKの頭上を抜く追加点が決まった。
リバプールが攻守にかみ合っていない事実を、前半のうちのチアゴ・アルカンタラの投入が裏づけていた。事実、後半に入るとチアゴらが果敢に縦パスを打ち込むようになり、レッズが勢いを取り戻す。縦への意識はチーム全体に浸透し、51分にはジョルジニオ・ワイナルドゥムのドリブルでの持ち上がりから、1点を返している。