波瀾のJ2第5節!(2)大宮が4-0「覚醒」!!5年ぶりJ1へ反転攻勢、次節“宿敵”琉球戦【戸塚啓のJ2のミカタ】の画像
馬渡和彰(大宮アルディージャ)   写真 : アフロスポーツ
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■大宮はスペース攻略の模範解答を示した

 大宮アルディージャが目覚めた。V・ファーレン長崎を相手に、4対0で快勝したのだ。

 大宮は前節終了時点で1勝3敗の18位に沈んでいた。水戸ホーリーホックとの開幕戦で白星スタートを切ったものの、ヴァンフォーレ甲府、SC相模原、京都サンガF.C.に黒星を喫した。

 試合内容が極端に悪いわけではない。ただ、やりたいサッカーを存分に表現できているわけでもない。消化不良な戦いが続いていたが、この日は違った。

 17分の先制点は、ピッチの横幅と奥行きを使って相手守備陣を攻略した。CBのサイドチェンジで左から右へボールを動かし、馬渡和彰黒川淳史を経由している間に、ボランチの小島幹敏がペナルティエリア右奥へ侵入する。黒川からパスを受けた小島がペナルティエリア右角付近の馬渡に落とすと、ワンタッチのピンポイントクロスが入る。これをネルミン・ハスキッチがヘディングで流し込んだ。

 32分の2点目も、スムーズなパスワークから生まれた。馬渡の縦パスを受けたハスキッチが、右サイドからフリーで抜け出す。ドリブルで持ち込んだ背番号17が、左サイドの小野雅史へつなぐ。小島が内側からタテへ抜け出すと、小野がスルーパスを通す。ペナルティエリア内左にフリーで侵入した小島は、得意の左足でネットを揺らしたのだった。

 2対0で折り返した後半は、長崎が攻勢を仕掛けてきた。ボールを持たれる時間が長くなるものの、大宮の守備ブロックは安定している。選手間の距離は縦、横ともに適切だ。つまりはコンパクトなブロックが形成されており、危険なスペースを与えなかった。

 後半も54分と71分に加点した。小野とルーキーの大澤朋也が決めた。長崎には得点機を許さず、4対0で終了の笛を聞く。4得点は昨年9月の京都戦以来で、クリーンシートは今シーズン初だ。

 攻撃ではスペースをどうやって攻略するのか、守備では危険なスペースを作らないことについて、この日の大宮は明確な答えを示した。岩瀬健監督と選手たちからすれば、練習の成果をピッチ上で表現することのできた一戦である。

 次節は5連勝の琉球のホームに乗り込む。昨シーズンはホーム、アウェイともに敗れ、敵地では0対5の大敗を喫しているだけに、リベンジへのモチベーションは高い。琉球の連勝を止めて、上昇気流に乗りたいところだ。

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