■『本当に試合終了?』『本当に僕ら、W杯に行けるの?』
「というのも、本当に心に刻まれることだからね。あの岡野のゴールの瞬間、W杯出場枠獲得の瞬間、ピッチにいたというのがね。あのゴールデンゴールの瞬間に。
しかも、興味深いプレーだったんだ。僕は中盤でプレッシャーをかけて、ボールを奪う手助けをした。そのボールを、ヒデがドリブルで持ち上がり、中盤からペナルティエリア付近まで運んで、シュート。それをGKが弾いたところで、岡野が、岡チャンが、ゴールを決めたんだ。
本当に嬉しかった。同時に、確信が持てなかった。ゴールデンゴールという方式にあまり慣れていなくて、僕らは『本当に試合終了?』『本当に僕ら、W杯に行けるの?』って。
試合後、審判がそう言ってくれたけど、30分経っても、まだ確信が持てなかったほどだ。特に、ゴールが決まった後の5分間は、あの場にいて、試合は続くの?終わったの?って、半ば混乱状態(笑)。
ともかく、僕はあの世代の代表チームに参加できたことを、とても誇りに思う」
——W杯はどうでしたか?
「W杯には興味深い話がいろいろあるよ。すごく面白い話もある。僕らはW杯というものを分かっていなかった。日本代表にとって初出場で、誰もW杯でプレーしたことがなかったから。
たとえば、岡田サンを尊重していたから、反論しなかったけど、彼は“1勝1分1敗でOKだ”と言っていたんだよね。グループリーグは3試合だから、それで決勝トーナメント進出できる。重要なのは、グループリーグ突破だと。
だけど、僕らは負けるのはイヤだ。だから、自分の中では“いやいや、3試合とも勝ちたい”と思ったものだよ。まぁ、相手はアルゼンチン、クロアチア、ジャマイカ。簡単ではないよね。ただ、選手は勝ちたいんだ。引き分けや負けを計算なんて、したくないものだから」