運命の行方は?「得点力不足のレアル」と「トッテナムで微笑むベイル」の画像
レンタル先のトッテナムで躍動するギャレス・ベイル 写真:代表撮影/ロイター/アフロ

 今季のチャンピオンズリーグのベスト8の組み合わせが決定した。

 スペイン勢の唯一の生き残りであるレアル・マドリーは、リヴァプールと対戦することになった。現在、プレミアリーグで苦しんでいるとはいえ、19-20シーズンのイングランド王者であり、18-19シーズンの欧州王者だ。マドリーにとって簡単な試合にはならないだろう。

 この2チームは、17-18シーズンのチャンピオンズリーグ決勝で激突している。その時はマドリーに軍配が上がった。そのファイナルで大活躍したのが、ガレス・ベイルである。

■トッテナムとベイルの幸福感


 しかしながら現在、マドリーにそのベイルはいない。ジネディーヌ・ジダン監督とそりが合わず、この夏にトッテナムにレンタル移籍した。

 「トッテナムを愛していたから移籍を決断した」と語っていたベイルだが、ジョゼ・モウリーニョ監督の信頼を勝ち取るには時間が必要だった。プレミアリーグ第23節まで、出場したのは6試合のみ。先発はわずか2試合だった。

 スペインでそうだったように、イングランドに戻ってからもベイルは負傷に苦しめられていた。それだけではない。FAカップ5回戦のエヴァートン戦前には、負傷をめぐりひと悶着あった。コンディション不良でベイルを招集外としたモウリーニョ監督だが、試合直前の練習後にベイルがSNSで「今日は良いトレーニングだった」と投稿したのだ。

 事態はのちにモウリーニョ監督が「スポーツ科学、メディカルスタッフ、監督は選手の感覚を信じなければいけない。その感覚は我々には知り得ないものだからだ。ベイルは試合に向けて準備ができていなかった」と弁明するまでに発展。あくまで、ベイルが選手側から痛みを感じると訴えがあったことを指揮官は強調した。

 ただ、不思議なことに、ここでベイルの「スイッチ」が入る。エヴァートン戦(2月15日)以降の公式戦8試合で6得点3アシストと大暴れ。すると、モウリーニョ監督はベイルを称賛した。

「ベイルは幸福感に満ちている。かつてないほどに。トレーニングを見ていると、彼が自信を回復したと分かる。先日の(ヴォルフスベルガー戦の)ゴールでも、自信がなければ、ああいうのは打てない。ネガティブな感情だったり、恐怖心がある選手というのは、あのようなシュートは打てないんだ」

「あのキックができる意味は少なくない。それはメンタルとフィジカルの解放だ。ただ、そのためにはコンディションを整える必要がある。移籍してきてから、最高のコンディションに彼はある」

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