■クリスティアーノ・ロナウドの後継者
スペインでは、「愛」を感じられなかった。
マドリディスタの批判は業火の如くベイルを襲った。
「応援して欲しいと思っていたけど、逆だった。(マドリーで)僕に浴びせられたのはブーイングだった」とトッテナム移籍前にベイルは本音を明かしている。
元々、大きな期待を背負ってマドリーに加入した。フロレンティーノ・ペレス会長はベイルをクリスティアーノ・ロナウドの後継者にしようと考えていた。2013年夏にトッテナムに移籍金1億ユーロ(約130億円)が支払われた。C・ロナウドへの配慮から移籍金は公表されなかったものの、それは当時のクラブ史上最高額だった。
ベイル、カリム・ベンゼマ、C・ロナウドの「BBC」はマドリーの看板3トップになった。だがベイルを好むマドリディスタは少なかった。原因はベイル側にもあった。マドリー入団会見の際には、「スペイン語を学び始めている。言葉は重要だから」と話していたが、マドリーに在籍した2013年から2020年の間に彼が公の場でスペイン語を披露することはなかった。
2019-20シーズンには、ウェールズ代表がEURO2020出場権を獲得した際、「ウェールズ。ゴルフ。マドリード。この順番だ」とSNSに投稿して物議を醸した。これはマドリディスタの感情を逆撫でするもので、両者の溝を深める決定打になった。