日韓戦2021「深夜の激論」(6) 97年W杯予選「国立の絶望」「ソウルの驚き」の画像
1988年の韓日戦のADカード 提供/後藤健生

3月25日に行われる日本対韓国の親善試合。日本にとって特別な思い入れのある韓国との一戦は、多くの注目と期待を集めている。サッカージャーナリストの大住良之氏と後藤健生氏の2人が、実に54年間にわたる日韓戦観戦の蓄積から、多彩な角度の議論を戦わせる!

■「その場より、メディアでの余波がすごかったなぁ」

―93年に、ワールドカップ予選では35年ぶりに韓国に勝利したことで、意識としては、ここで韓国と並んだのでしょうか?

大住「それはならない」

後藤「いや、僕はそうなったと勘違いしちゃったね」

―後藤さんは並んだと?

後藤「それは間違いだったんだけどね。つい、これで日本が上回ったから次も勝てるかな、なんて思っちゃった。勘違い」

大住「それを思い知らされたのは97年?」

後藤「あれは、まあ負けちゃったな、というか。85年に負けた時のような、どうしようもない感じはしなかったね。試合運びに失敗して負けちゃったって感じ」

―97年のワールドカップ予選ですね?

(※1997年9月28日、国立競技場でのフランスW杯最終予選で日本は1対2で韓国に敗北)

後藤「そう、加茂周監督の時のね。せっかくリードしていたのを、ふいにしちゃって」

大住「その流れが、取り返しのつかない時間に来るからね」

後藤「もうちょっと上手く立ち回れれば、1対0で勝てたのになって。そういう残念さはあったけど、コテンパンにやられた感はなかったかな」

―国立でご覧になっていて、その予選の負けた時は大きなショックはなかったんですか?

後藤「そんなことはない。ホーム&アウェイのリーグ戦をやっているんだから、そりゃいろいろとあるだろうって」

大住「あの時は国民的な関心がすごくて、その余波のほうがすごかったよね」

後藤「そう、集団ヒステリーのような感じ。なんかもう、すぐに『絶望』とか書かれてさ」

大住「今でもよく覚えているのが、スポーツ紙が『自力なし』って書くんだよね。当たり前じゃん。サッカーのリーグ戦に自力なんてないよ。それで絶望とかさ。絶望っていう言葉もずいぶん出たよね?」

後藤「何回、絶望すりゃいいんだって思ったよね」

大住「いや、まだ試合あるじゃんって」

後藤「そしたら次もまた、絶望ってね。このあいだも絶望しているんだから、もういいじゃんって思った」

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