フットボールにおいて、ボールをうまく扱ったチームが勝利に近づくのは道理だ。
その点で、アトレティコ・マドリーはチェルシーに劣っていた。チャンピオンズリーグ決勝トーナメント一回戦で、ブカレスト開催となったホームのファーストレグ(0-1)、アウェーのセカンドレグ(0-2)と完敗して大会から姿を消した。
「チェルシーは正当な勝者だった。ファーストレグでは均衡した展開1点のアドバンテージを得て、セカンドレグでは彼らが上回っていた。今季のチャンピオンズリーグに関しては、最初から難しかった。それを受け入れなければいけない。重要な現在があり、約束された未来がある。この一日から学ぶ必要がある」
敗戦後のディエゴ・シメオネ監督の言葉である。
■システムチェンジ
今季、【3-1-4-2】を基本布陣としてきたアトレティコだが、シメオネ監督はチェルシーとのセカンドレグで【4-4-2】を採用した。
これに関して「前線からプレスを掛けたかった。(2トップと両サイドハーフの)4人で相手のビルドアップを封じたかった。選手たちは多大なる労力を払った。だが思うようにボールを奪うことができなかった」とシメオネ監督は説明した。
ハーフタイムにシメオネ監督は修正を施した。レナン・ロディに代えてマリオ・エルモソを最終ラインに入れ、キリアン・トリッピアー、マルコス・ジョレンテ、コケ、サウール・ニゲス、ジョアン・フェリックス、ヤニック・カラスコを中盤に配置して【3-6-1】を形成した。
だが、53分にはムサ・デンベレとカラスコの交代で【3-5-2】に、58分にはルイス・スアレスとアンヘル・コレアの交代で【4-4-2】になった。68分にはトリッピアーとトマ・レマルの交代で再び【3-5-2】が形づくられた。
幾度となくシステムが変更され、選手たちは混乱しているように見えた。元々、シメオネ・アトレティコは“カメレオン的な”チームではない。ディエゴ・マルティネス監督が率いるグラナダのようなチームであれば、選手たちは試合中のシステムチェンジに対応できる。
だが今季のアトレティコは3バックでボールを握るというフットボールでリーガエスパニョーラで結果を残してきた。相手に合わせるのではなく、自分たちが主導権を持ちながら勝ち点を積み上げてきたのだ。