■FC東京のスカッドと戦術の仕様

 FC東京が無失点で抑えることができたゲームは、リーグ戦で1試合しかない。第7節・名古屋戦だ。それ以外の10試合はすべて失点している。ただし、無失点に抑えた名古屋戦は無得点に終わっており、攻守のバランスが難しい問題となっていることがうかがえる。

 鳥栖戦では流れのなかからゴールを奪えなかったが、そもそも東京のスカッドも戦術も、スペースがあることで水を得る仕様になっている。ブロックを作って守る鳥栖に対峙し、そこからゴールをこじ開けるパターンは極めて少なかったのも、その仕様による部分が多い。まして、これで4連敗となった苦手な鳥栖が相手だ。逆転をするには、“もう一つの要素”が必要だった。

 第9節の川崎フロンターレ戦で、長谷川健太監督は東京の代名詞である4-3-3を捨てて4-4-2で戦った。王者相手に“なりふり構わぬ”といえば聞こえはいいが、指揮官の言葉を借りれば「(FC東京は川崎とは)がっぷり四つで戦えるほどの力はないと思っていた」という。さらに指揮官の言葉を補足すれば、「守備の狙いもありましたけど、どちらかというと、攻撃でイニシアチブを握りたい狙いがありました」となる。“多摩川クラシコ”というプライドを懸けた一戦で、指揮官はこう吐露しなければいけなかった。首都チームは、攻守両面で課題を抱えているのだ。

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