■終盤にやってきた「見どころ」
ドルトムントの自陣スローインからの速攻で、ユリアン・ブラントが強烈なミドルシュートを決めて、ヘルタのプランは決壊した。その後、ヘルタは4バックに変更し、少し前に出てくるのだが、見どころはようやく終盤にやってきた。
71分に、ジョバンニ・レイナが入る。17歳のアメリカ代表FWだ。残り5分を切ってからは、ユスファ・ムココがマルコ・ロイスと交代でピッチに立った。昨年11月、16歳の誕生日の翌日にブンデスリーガデビューを果たした逸材である。
70分に、ドルトムントは速攻から4対4の場面をつくり出し、トルガン・アザールのスルーからハーランドが流して、抜け出したロイスがシュートにまでつなげた。結局オフサイドではあったのだが、ようやく出てきた見るべきシーンを、恐るべき若者たちは簡単に上回ってみせた。
89分の場面だ。左サイドからのパスをハーランドがはたくと、ボックス内で受けたムココはわずかなコースを見逃さずにクロスを送る。ファーサイドで滑り込んだのはレイナ。そのシュートは、ポストを叩いた。
アンファン・テリブルのショーは終わらない。その1分後、ハーランドへの縦パスはこぼれたが、そのボールに走り込んだのがムココ。ボックス内で2度の切り返し、さらに縦への急加速に続いて、左足を振るう。角度のない位置からの一撃は、GKの股下を抜いてダメ押し点となった。
昨季にデビューを飾ったレイナは、すでに主力級の選手である。この試合でフル出場したジュード・ベリンガムは17歳。負傷で欠場しているが、20歳のジェイドン・サンチョも、世界のビッグクラブが獲得を争う選手であることを忘れてはいけない。
今季リーグ戦20試合19得点のハーランドだけが、注目の若手ではない。14日に発表されるU-21欧州選手権に臨むドイツ代表には、16歳のムココの飛び級招集の可能性が報じられている。監督の職を解かれはしたファブルだが、この若者たちを起用したことだけでも、賛辞を受けてしかるべきかもしれない。
■結果
ドルトムント 2-0 ヘルタ・ベルリン
■得点
54分 ユリアン・ブラント(ドルトムント)
90分 ユスファ・ムココ(ドルトムント)