マドリーにとって、ヨヴィッチの獲得が意味するものは少なくなかった。2009年夏にリヨンからベンゼマを獲得して以降、他クラブから完全移籍で「9番」タイプの選手を獲得してこなかったからだ。

 エマニュエル・アデバヨール(2010-11シーズン)、ハビエル・“チチャリート”・エルナンデス(2014-15シーズン)といった選手はレンタル加入だった。アルバロ・モラタ(2016-17シーズン)やマリアーノ・ディアスは元々マドリーのカンテラーノである。

 そのヨヴィッチが去り、いよいよジダン監督のオプションは少なくなっている。

 純粋なストライカーはベンゼマを除けばマリアーノだけだ。アタランタとのファーストレグでは、イスコをゼロトップで起用した。他にも、【4-2-3-1】や【3-4-3】を試してきた。だがジダン監督の戦術には継続性がない。最終的には、【4-3-3】に帰結する。

 以前、「ゴールは全員のものだ」とジダン監督は述べていた。それは道理だ。しかし一方で、ベンゼマ頼りの攻撃に不安は残る。戦術のバリエーション、モチベーションのブースト、如何なる方法でも指揮官はマドリーの得点力アップを図らなければならない。

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