■問題な「試合の入り方」
だが、結果はついてこなかった。3点目を奪うにはリズムに乗る時間が短すぎ、逆に決勝点を奪われたのだ。
時計を巻き戻す必要がある。キックオフからの5分間だ。開始2分にセルジ・サンペールの長い縦パスに古橋亨梧に快足を飛ばされ、冷や汗を流した。その20秒後にはGKへのバックパスを、またも古橋にさらわれかけている。そして5分の失点場面である。これも、サンペールが素早く打ち込んだ長い縦パスから始まっている。
試合後、長谷川健太監督は「今日も入り方が悪かった」と敗戦の弁を述べた。前節も開始14分で先制点を献上した。気の緩みなのかもしれないが、サンペールの縦パスには、プレッシングの暇を与えずエンジンのかからないうちに仕留めようとの、強い意図が込められていたように思えてならない。
繰り返すが、攻撃陣のブラジリアントリオは強烈だ。思えば、その印象を突きつけたのは、昨季開幕戦だった。交代出場したアダイウトンが逆転ゴールを奪うなど、この3選手のゴールと活躍で勝利をつかんだのだ。
その開幕戦は、模索の始まりでもあった。昨季もこの日と同様に、フォーメーションや配置をさまざま変えて、強力な武器の活かし方を探った。この日も、攻守にわたる安部の驚異的な運動量や、3トップの一角で相手の裏を狙う田川亨介のスピードと、昨季に見つけたストロングポイントをチームに組み込んでいた。だが、試合中にあれこれ手を尽くしたように、最適解はまだ見つかっていないのだ。
開幕戦から1試合ごとに失点がかさみ、第3節で初黒星を喫した。いつまでも模索と入りの悪さが続くようだと、悲願のリーグタイトル獲得に向けて、大きな痛手となりかねない。