【J1分析】FC東京「圧巻の4分間」と「落胆の5分間」神戸に今季初黒星の画像
フィジカルも圧倒的なアダイウトン 撮影/原壮史

■3月10日/J1第3節 FC東京ヴィッセル神戸(味の素スタジアム)

 圧巻の4分間だった。2点を追う、74分からの場面だ。

 自陣中央の安部柊斗からのパスを受けたアダイウトンは、瞬間的にトップスピードに乗った。内へと切れ込むことで、捕まえに来たヴィッセル神戸の右サイドバック山川哲史を引きはがす。次の瞬間には、その裏に生じさせたスペースへ鋭く縦パス。走り込んだディエゴ・オリヴェイラはGKもかわして、反撃の1点を決めた。

 77分にも、アダイウトンがギアを踏み込む。最終ラインから持ち上がったジョアン・オマリが何気なく送った浮き球のパスはあっさり弾き返されるかに見えたが、神戸DFがクリアしきれず、ボールが流れる。パスに向かって走っていたアダイウトンは足を止めず、ボックス内でこぼれ球を拾ってシュート。GKに弾かれたところを、交代出場していた永井謙佑が冷静に叩いて、試合を振り出しに戻した。

 FC東京が誇る3人のブラジリアンアタッカーは、迫力十分だ。1人も2ケタ得点には届かなかったが、昨季は3人合計で26得点と、チーム総得点47ゴールのうち半分以上を稼いだほか、多くのチャンスを創出している。

 ここまでのリーグ開幕2戦では、D・オリヴェイラとレアンドロが3トップに入って先発してきた。今回の試合では、D・オリヴェイラに代わってアダイウトンがセンターFWで先発した。

 だが、FC東京のスイッチがなかなか入らない。プレッシングも機能不全で、前半終盤には左ウィングのレアンドロと、レアンドロのポジションを入れ替えた。後半早々の55分にはD・オリヴェイラを投入し、ブラジリアントリオで3トップを形成。さらにはアダイウトンを中央に戻して永井との2トップにすると、永井の迫力あるチェイシングに引っ張られるように、チーム全体が前進。4分間での同点劇につながった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3