■白眉ともいうべきダニエル・ジェームズの働き
1vs1の場面を迎えることは守備側にとってピンチになることも多いが、ユナイテッドに関してはあえてサイドで1vs1の場面を作らせるようにしている。
こうなると、インサイドに入って数的優位を作り出すジョアン・カンセロの存在が重要になってくるが、カンセロはラッシュフォードとフレッジに挟まれる形でプレーすることになり、良さを発揮できなかった。これは、ユナイテッドが素晴らしかったのもあるが、ケビン・デ・ブライネではなくベルナルド・シウバが同サイドで起用されていればプレーしやすかっただろう。守備への貢献が少ないデ・ブライネが同サイドにいたことで、中途半端な立ち位置になってしまっていた。
イルカイ・ギュンドアンが中盤で上手いターンを見せて攻撃のスイッチを入れた場面もあったが、ダニエル・ジェームズの帰陣で人数不足になることがなかったユナイテッドの守備は落ち着いていた。
この試合のジェームズの働きは白眉というべきもので、守備をサボらないことと、攻撃の機会にスプリントで必ず前に出ることを最後までやり続け、ユナイテッドのチームとしての戦い方を象徴する選手になっていた。
後半に入り、50分にショーのゴールでリードを広げたユナイテッドに対し、シティは決め手に欠けるままどんどん残り時間がなくなっていった。
つまり、72分の出来事はただシティが焦っていただけでなく、今日の11人のユナイテッド相手にはゴールは奪えない、という意味を含んだものだった。