■まるでヨーロッパのような香りも

 先ほど書いたように、やっているプレーがうまく機能しないとか、機能してはいるのに得点に結びつかないといった嫌な流れの中では、あえて目先を変えて、戦い方を変更させて立て直すべきという考え方もできる。

 だが、そうではなく、最初からやりたいスタイルのサッカーを90分間(+延長)貫き通すという戦い方もある。

 その後者のような試合やそうしたチームのことを、僕は「骨太の」という言葉で表現したいのだ。「質実剛健」とか「無骨な」という言葉にもなるかもしれない。

 本来の攻め方を、躊躇いもなく、最後まで繰り返して結果をもぎ取ってしまう。そういう「骨太の」試合の進め方は、たとえばドイツなどではよく見られる。たとえば「大型CFの高さを生かす」と決めたら、うまくいっていても、うまくいってなかったとしても、ドイツのチームは最後までクロスを上げ続けて、そして最終的に結果を出してしまう。

 5バックで中央を固めた守備から、時折繰り出すカウンターを生かすサッカーを、ホームのSC相模原が90分間プラン通りに貫き通した。そして、その守備に対してなかなか決定機が作れなかったものの、自らの追い求めるスタイルのサッカーを追い求めながら、最後までブレることなく攻めを繰り返した京都サンガF.C.。まさに、「骨太の」試合だった。

 最近は、スペイン流の可変システムが脚光を浴びることも多いし、5人交代制の影響や飲水タイムの実施の影響もあって、試合の途中で互いのやり方が次々と変化していくような試合をよく見かける。互いの駆け引きを見れば、そういう試合も面白いのだが、この日の相模原の試合のような「骨太の」試合もまた非常に興味深い展開の試合だった。ヨーロッパの中位以下のチーム同士とか2部リーグなんかだと、こういう試合はよく見かけるのだが……。

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