■メッシの役割は「メッシ」
やはり、メッシは働き時を探っていた。後半に入り、6分後のことである。自陣でボールを受けた瞬間に、スイッチが入る。セビージャが後半から採用していた3バックの一角から飛び出してきたカリム・レキクのプレスを、重心の低いドリブルでいなして前に出る。この突破から、追加点はならなかったものの、デ・ヨングの惜しいクロスを導いている。
一瞬でギアをトップに持っていくメッシのプレーは、その後も数回、セビージャに冷や汗をかかせていた。そして、単なる脅威で終わらないのがメッシである。試合が残り5分を切った時間帯、エリア手前でやる気もなさそうにパスをはたいてマークを外すと、リターンを受けた瞬間にスイッチオン。ボックス内でDFをかわし、自身のシュートのこぼれ球を押し込み、試合の行方を決定づけた。
メッシの役割は、メッシである。他の誰にもできないし、メッシ以外には許されず、託されない仕事だ。働き場所も、働き時も、自分で決める。その自由に伴う責任に、結果を出すことで答えを出し続ける。冒頭に記したように、しかるべき時には、体を張る。メッシが、そう判断したからだ。
まだリベンジは完了していない。セビージャとは、4日後にも顔を合わせる。国王杯4強進出を奪還しなければならない。いや、6シーズンぶりの無冠に終わった昨季の汚名を雪ぐまで、メッシのミッションは完了しない。
■試合結果
セビージャ 0―2 バルセロナ
■得点
29分 ウスマヌ・デンベレ(バルセロナ)
85分 リオネル・メッシ(バルセロナ)