■長崎は「福岡タイプ」

 今年のJ2を見渡すと、昨年3位の長崎は「福岡タイプ」と言える。吉田孝行監督は新任だが、トップチームコーチからの昇格である。J1にあと一歩届かなかった昨年の戦いを、当事者として知っているのは大きい。J1での監督経験もある。

 昨年の主力も、ほぼ残留している。カイオ・セザールエジガル・ジュニオがレンタルから完全移籍へ切り替わり、J1でも実績のある都倉賢山崎亮平の両FWを獲得し、アタッカーの選択肢がさらに豊富となった。移籍市場での収支から判断すれば、有力な昇格候補にあげられる。

 昨年6位の磐田は、鈴木政一監督が昨年10月から指揮を執っている。こちらも監督がチームを掌握できており、保有戦力の継続性も実現している。

 昨年10点のルキアンと9点の小川航基に加え、コロンビア人FWファビアン・ゴンザレスも獲得しており、彼らに得点機を提供する遠藤保仁も期限付き移籍を延長した。攻撃力は計算できる。あとは、昨年47失点の守備力をワンランク向上できれば、昇格争いに加わってくるはずだ。

 失点を減らすことができれば、プレーオフ圏内かその後方まで食い込むことはできる。昨年の栃木SCは分かりやすい例だ。失点をリーグ最少3位タイに抑えたことで、19年の20位から10位までジャンプアップした。

 ただ、昇格を争うとなると、攻守両面を高い水準へ押し上げる必要がある。攻撃については、勝点を運んでくるストライカー、2ケタ得点ができるストライカーが欲しい。それは、昨年1位の徳島と2位の福岡が持ち、3位の長崎が持てなかったものである。

 監督の継続性と保有戦力の継続性、それに2ケタ得点を見込めるストライカーがいる意味でも、長崎と磐田は昇格候補と言える。一方、昨年4位の甲府と同5位のギラヴァンツ北九州は、チーム内得点王を失ってしまった。甲府はふたりのブラジル人FWを獲得したが、どちらもJリーグでプレーするのは初めてだ。未知数な部分がある。北九州は昨年18ゴールのディサロ・燦・シルヴァーノ清水エスパルス)に代わる存在を、補強できていない。

 甲府の伊藤彰監督、北九州の小林伸二監督はともに就任3年目で、チーム作りに継続性はある。ただ、J1昇格候補とするには、決定的な要素を見つけられない。

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