J2021年のJリーグがいよいよ幕を開ける。本稿では新たなシーズンに挑むJ1各チームの注目選手を2名ずつピックアップ。チームとしてのポイントも紹介する。ニュースターの誕生を期待したい。
◎北海道コンサドーレ札幌
「北海道とともに、世界へ」というスローガンを掲げて9年目となるコンサドーレは、ACL出場を目指す。
野々村芳和社長は年始のあいさつで「この状況だからこそ、格上との差を埋められる可能性があると思っています」と記した。Jリーグでは、コロナ禍での経営悪化に対応するため、20年度と21年度の債務超過・3期連続赤字によるクラブライセンスの不交付は行われないことになった。
親会社の巨大企業がスポンサー料で赤字を埋めてくれるわけではないコンサドーレにとってリスクを伴うことではあるが、どこのクラブも苦しい状況、というのは親会社を持たないコンサドーレが勝負できるチャンスでもある。
攻撃的なサッカーをクラブの色にするためにミハイロ・ペトロヴィッチ監督を招聘して3年が経ち、コンサドーレはどんなチームに正面からぶつかっても自分たちの色を出すことができるようになった。それだけでなく、マンツーマンでの戦い方を導入し、昨シーズンの後半戦ではこれまでのミシャ式のイメージから進化した姿を見せた。
選手たちは昨年4月、自主的に総額1億円にもなる報酬返上を申し出た。罰金の意味合いではない報酬返上、しかもチーム全員でのそれは、プロスポーツ界では異例のことだ。
サポーターは、6月のクラウドファンディングで、僅か13分で目標額の300万円をクリアさせた。最終的に4905人が56,128,613円もの額を支援したこのクラウドファンディングの注目すべきポイントは、コンサドーレの財政を直接支援するものではなかった、ということだ。コンサドーレパートナー企業応援プロジェクト、つまり、クラブではなく日頃支援してくれている企業を救うためのものだった。
全ては、コンサドーレというクラブをより大きくして次の時代に繋げるため。そして、北海道を活性化させるためだ。
フロント、監督、選手、サポーター、パートナー企業、2021年は全てが一丸となったコンサドーレの勝負の年になる。