J開幕の足音が聞こえる——。新天地へと移った2人のスペイン人監督、清水エスパルスのロティーナと、浦和レッズのロドリゲスは、昨年までも異彩を放つ手腕を見せてきた。注目したい。そして、特筆すべきは、これまで実績を積み上げてきたチョウ・キジェが、新たに京都サンガ監督に就任したこと。シーズンのゴールには、はたしてどうなっているのか——。
■浦和レッズはチームの完成を待つことができるのか
ロティーナ監督の清水はそれほど問題がないだろう。
ロティーナ監督は一度にすべてを変えることが難しいのは承知の上でゲーム戦術を駆使して結果を出しながら順次チームを変化させていける現実主義者だからだ。そのことは東京Vでも、C大阪でも実証済み。どちらのクラブでも1年目からしっかりと結果を出しているのだ。
難しいのは、浦和のロドリゲス監督か。
あの高度な戦術を駆使するチームを作り上げるには、やはり時間が必要だ。徳島でそれが実現できたのは4年の歳月の積み重ねがあったからこそだ。
もちろん、浦和には代表クラスの選手が多く、徳島の選手に比べて個人能力が高いのだから、時間をかければ素晴らしいチームになるのは間違いないが、ビッグクラブの常として「どこまで待てるか」が問題となる。なにしろ、このクラブはミハイロ・ペトロヴィッチ監督のコレクティブなサッカーでタイトルが取れないと同監督を解任して、まったくタイプの違うオズワルド・オリヴェイラ監督に乗り換えたといった過去がある。
明るい材料となるのは、可変システムのポイントの一つであるサイドバックとして経験豊富で戦術理解力が高く、守備的にも攻撃的にもプレーできる西大伍が加わったことだ。新監督のプランをピッチ上に落とし込むためのキープレーヤーとなるのではないか。
逆に残念なのは、同じく多様なプレーができる若手の橋岡大樹が海外移籍を選んでチームを離れてしまったことだ。ロドリゲス監督の下でプレーすれば、もう少し成長してから海外移籍を選べたかもしれなかったのだが……。