■明暗を分けるのは3週間のインターバルの使い方
それでも、新監督のサッカーをチームに浸透させる作業はやはり難しい。開幕前の事前合宿でいくら万全の準備を尽くしても、またトレーニング・マッチで修正を加えていても、実戦になると数々の問題が露呈されてくる。
僕はそれを「初期故障」と呼んでいる。性能の良い新しいPCを導入しても、使い始めてみると不具合があったり、設定がうまくいっていなかったりでトラブルに見舞われることがある。それと同じである。そうした問題点をどのように素早く認識して、修正を加えるのかが重要になってくる。
今シーズンの日程表を見ると、「初期故障」を修正するための絶好の機会が設けられていることに気づく。
J1リーグでいえば第22節が終了した7月中旬から、約3週間の中断期間があるのだ。もちろん、東京オリンピックのための中断だが、暑さが厳しくなってきたところでの中断はコンディション調整にも使えるが、「初期故障」が起こってしまったクラブにとっては、その修正のためのまたとない機会ということになる。
それまでに、「初期故障」の原因をしっかりと洗い出して、3週間の間にどこまで修正できるか……。その点こそが、今シーズンから指揮を執る新監督たちにとっては最大の手腕の見せ所となるのではないだろうか。